心療内科でよく使われる薬について

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抗不安薬の基礎知識

抗不安薬の基礎知識

うつ病や不安障害など精神的な疾患に対して薬物療法でよく用いられるのが、「抗不安薬」です。抗不安薬にはたくさんの種類があり、種類によって効果の強さや作用時間、副作用などは異なります。自分に合った薬を安全に服用し効果を得るためには、患者様ご自身でも薬の特徴について知っておいていただくことが大切です。

こちらのページでは、福岡市の天神にある心療内科「ちひろ心クリニック」が抗不安薬についてご説明しています。抗不安薬を現在服用している、今後服用の予定があるという方はぜひご確認ください。

抗不安薬とは

抗不安薬とは

抗不安薬とは、いわゆる「精神安定剤」のことであり、不安を和らげる作用を持つ薬剤のことです。具体的な薬剤名は、「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」「セロトニン1A部分作動薬」の2種類になります。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬には、不安を抑える作用があります。薬剤の作用時間は即効性のあるものから、服用後15~20分くらいで効果が出始めるものまでさまざまです。抗不安作用以外にも、「抗うつ作用」・筋肉の緊張を和らげる「筋弛緩作用」、ウトウトした状態にする「催眠作用」、けいれんを抑える「抗けいれん作用」などもあります。

ただし、長期間あるいは多量の使用を継続することで、耐性や依存性が生じるという問題があります。

商品名・薬剤一般名

デパス/エチゾラム、ソラナックス/アルプラゾラム、ワイパックス/ロラゼパム、レキソタン/ブロマゼパム

セロトニン1A部分作動薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬のように、耐性や依存性が生じることはほとんどありません。ただし、効果が弱いという問題があります。そのため、現在、セロトニン1A部分作動薬を使われることはあまりありませんが、当院では上手く対応するようにしています。

商品名・薬剤一般名

セディール/タンドスピロン

抗不安薬の分類について

強さの分類

抗不安薬の作用の強さは、大まかにいうと3段階になります。抗不安薬は強ければよいというものではありません。確かに強ければ強いほど不安を抑える作用は強くなりますが、副作用も出やすくなり、耐性・依存性も生じやすくなります。患者様の症状の程度によって、強さを選ぶ必要があります。

強い 中くらい 弱い
セパゾン、ワイパックス、レキソタン、デパス メイラックス、セルシン/ポリゾン、ソラナックス/コンスタン、セディール、アタラックスP セレナール、リーゼ

(商品名/一般名)

作用時間の分類

抗不安薬の作用時間の強さは、大まかにいうと3段階になります。作用時間が長いものよりも短いものの方が効果を実感しやすい傾向にあります。作用時間が短いとすぐに効果がなくなってしまうため、1日に数回服薬しなければいけませんが、効き目を微調整しやすいというメリットがあります。ただし、作用時間の短いものは耐性・依存性が生じやすい傾向がありますので注意が必要です。

長い(24時間以上) 中くらい(12時間前後) 短い(6時間前後)
セパゾン、メイラックス、セルシン/ポリゾン、セレナール ワイパックス、レキソタン デパス、ソラナックス/コンスタン、セディール、アタラックスP、リーゼ

(商品名/一般名)

抗不安薬を強めたい時に知っておいてほしいこと

抗不安薬が効かない場合、より強い薬を使いたい、薬を増やしたいと思われるかもしれません。ですが、安易に増やしてしまうと副作用のリスクは高まり、耐性・依存性が生じやすくなります。また、ある程度増量をしている場合、抗不安薬を上限量まで増やしたり、別の抗不安薬を追加したりしても、劇的に症状が改善することはほぼありません。

抗不安薬を使っても不安が十分にとれない時は?

抗不安薬を使っても不安が十分にとれない時は?

抗不安薬が効かない場合には、「もっと抗不安薬を増やそう」と考えるのではなく、「抗不安薬で不安がとれるのはここまでが限界」だと考え、別の方法で不安を取り除くことを選択するようにしましょう。それでも薬剤にこだわりたい場合には、不安に効く漢方薬などを選択するのもよいでしょう。